もし、人がどのような境遇にあっても、心からの感謝が湧き、満ち足りた人生を送ることができたらどれだけ幸せでしょうか。パウロはピリピ人への手紙の結びにあたって「満ち足りて生きる」方法を教えています。
1.良きものに目を留める道
兄弟たちよ、そのほか、どんなことであっても、真実な事、または尊敬に値する〈誉のある〈上品な〉事、正しい事、清純な事、愛すべき〈愛される〉事、親切な〈人をひきつける〈あわれみ深い〉事、またもし何かの徳〈すぐれた事〉があるならば、また賞賛する価値のあるものがあれば、そのようなものによく思いを留めなさい〈思いはかりなさい〈考えに入れなさい〈しっかりとあなたの心をそのようなものの上に留めなさい〉。ピリピ 4:8(詳訳)
パウロは「真実、尊敬、正しい、清純、愛、親切、徳、賞賛」など価値のあるものに常に心を留めるように命じています。心に留めるとは、計画し、実行することを意味します。逆に、これらと反対のものに心が向いてしまうと、不平不満、不信仰の道へと転落していきます。
2.主が共にいてくださる道
あなたがたが私から学んだ事、受けた事、見た事、聞いた事を実行しなさい。〈それをあなたがたの生き方の模範としなさい〉。そうすれば平和〈混乱のない、乱されない幸福〉の神があなたがたといっしょにいてくださいます。 ピリピ 4:9(詳訳)
パウロは真剣に生きてきたからこそ、自分から学んだ事を実行すれば平和の神様が共にいてくださると言うことができました。私たちにとって、使徒たちから学び、受けた事とは、新約聖書のことです。ただ頭で考えて心に留めるだけではなく、実行することによって主が共にいて下さいます。
3.私を強くしてくださるキリスト
・・・私は、いろいろな環境の中において、飽き足りるときも、から手で〈欠乏の中に〉あるときも、あらゆる状態に対処する秘訣を習得しました。私は、私を強くしてくださるキリストにあって、どんなことでもする力を持っています。〈私は私のうちに内的な力を注ぎこんでくださるかたを通して、どんなことでも行なう用意があり、どんなことにも耐えるのです〔すなわち、私はキリストの充足のうちにあって自足しています〕〉。 ピリピ 4:12~13(詳訳)
今まで、あなたの人生で「自分の思い通りの状況」と言えるときは何パーセントありましたか。環境や状況は自分の思い通りに変えることはできません。しかし、パウロは、「あらゆる状態に対処する秘訣を持っている。主が与えてくださる力によって、どんな事でも行う力が与えられている。キリストの満たしによって、私は満ち足りている」と告白しています。
さらにパウロは、主からの力だけでなく、兄弟姉妹の物質的な援助、援助してくれる思いに感謝し、それが彼ら自身の祝福の実となる事を教えています。ピリピ人への手紙は獄中書簡です。パウロはこの手紙を執筆した約5年後に殉教しました。
また私の神は、キリスト・イエスにあるご自身の栄光の富に従って、あなたがたに必要なすべてのものを惜しみなく豊かに与えてくださるのです〈いっぱいに満たしてくださいます〉。ピリピ 4:19(詳訳)〔Ⅱコリント9:8、詩篇23:1〕